明治33年横濱。永真遊郭にある老舗『湊楼』の娼妓の産んだ娘・伊都は、触れたひとを癒す異能を持っていた。
春先の夜、客引きに出ていると、洋装の男が現われる。男は楼主のひとり息子。八年も横濱を離れ、洋行を繰りかえしていた若旦那だった。

その若旦那に異能を知られたことをきっかけに、ふたりの距離は急接近…