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まさか、賢人に指輪のこと指摘されるとは思っていなかった。

「………指輪、捨てた?」

「…………す、捨てたよ!!だって、私たち幼なじみに戻ったんだもん。つけている意味も持っている意味ないもん!!」

そんなの、嘘。

賢人との思い出を忘れるために捨てようとした。

手放しさえすれば賢人を忘れられると思っていたから。

けど、ダメだった。

手放すことも捨てることもできなかった。

捨てることなんてできない。

手放すことできなかった。

今も、コートのポケットに入ってる。

「……そっか」

「…………!!」

なんでそんな顔すんの。

泣きそうな、せつない顔。

なんで?

「私、お風呂入ってくる!!」

賢人から逃げたくて部屋から飛び出した。

「捨てたのか…………」
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