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「‥‥お前の手はあったかい」

「ご、ごめん。起こした?」

「‥‥‥細くなったな、手」

「っ、」

ふっと笑った慎太郎は私の腕を掴んで、その手で絡めた。

慎太郎の手のひらは、いつも冷たい。

「代わってやれない事が、すげぇ悔しい」

「‥‥慎太郎」

「七瀬が苦しむ度に、何もしてやれない無力な自分が虚しい」

「‥‥そんな事、ないよ慎太郎」

「こんなに自分が非力だって感じたのは初めてだ」

「‥‥‥」

「お前がいつ俺の前から居なくなってしまうか気が気じゃない。頼むから、本当に頼むから‥‥‥っ死ぬな七瀬」
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