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そして、その場の全員が、異変に気付いた。「・・・ぁ、・・・・ぁ、ハッ、」兄貴の胸の中のゆいかが、息を荒げる。「・・・ゆいか?」「やぁっっ、」怯えるゆいかの目は濁っていて。「チッ、発作だ。」ここ何年も見ていなかった発作が、ゆいかを呑み込もうとしていた。「っっ、ゆい、か、」俺の口から出るのは、情けないほど掠れた声で。「や、めっ、・・・ヒッ!」兄貴の腕の中で暴れるゆいかに向けて出した手も、浮かせたままを保てずに、力なく垂れ下がる。兄貴がその場に座り込んで暴れるゆいかを抱きしめた。「ゆいか?大丈夫だ。゛あいつ等゛はいない。」「も、ぅ、やめてぇ!」「大丈夫だ。゛あいつ等゛は俺が消した。ここにはいない。」゛あいつ等゛、゛ここにはいない゛をただ繰り返す兄貴と、ただ泣き叫ぶゆいか。゛あいつ等゛が誰を指すのか、この場の全員が理解していた。「・・・奏が拾ったばかりのゆいかちゃんを見ている様だよ。」俺の隣に来た隼人さんがため息混じりに呟いた。「っっ、こんなに、」昴の辛そうな声が響く。「昼夜問わずにこんな風に暴れて死のうとするんだ。その度に奏がああやって呪文の様に穏やかに囁いてね。それが2ヶ月は続いたかな。お前の引退式の時の親父の言葉、覚えてるか?」「落とすのに、何ヶ月も、ってやつですか?」俺の言葉に隼人さんが頷いた。