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「 更良ちゃん 」

「 ん? 」

「 今日はこっち向いて寝て 」

……そう言われると向きたくないんだけど。
そんなあたしの気持ちを見越せるほどの旦那さんに育ったらしい旭日は腰に手を回してくるりと器用に引き寄せた。恥ずかし、と頬を緩めてそれから胸の中にすっぽりあたしのことを納めた。

「 隙間ないから溝なんて出来ようがない 」

「 むちゃくちゃ 」

「 無茶でもいいから、もうあんな夢見なくて済むように今日だけこっち向いてて 」

お願い、と最後に呟かれたからもうしょうがないなって旭日の背中に手を回したらひさしぶりに好きの二文字が降ってきて沈みかけてた心が急上昇するのが分かった。

あたしってこんな単純な女だったかな。寝起きにまだ半分寝ている旭日に聞いたら、「 更良みたいに分かりにくい子そうそういない 」と笑われたから「 おあいこだよ 」って返す。そんなハッピーエンド。
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