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258ページより
「……宿命は車輪で、運命はレール」
でもお父さんは微かに笑いながら意味不明な言葉を呟いた。
「どういう意味ですか?」
「宿命がもう決まっている物だとしたら、運命はそこを走る車輪」
「意味が……」
「いくつもある支点切り替えを、自分の意思で自由に切り替える事が出来る」
「……」
「迷う奴は永遠に切り替える事なんてせずに真っ直ぐ進む。状況が変わるのが怖いからね」
「おじさん……」
「でも……自分を持っている奴も永遠に切り替えないのかもしれない。信念があるからこそ真っ直ぐに進める」
そう言いながら、お父さんは睫毛を伏せた。
「そう言う奴が切り替えるのを決意する瞬間は、きっと惑わすものが出てくるんだろうな……」