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電話くれたら良かったのに」

(それじゃこっちの番号知られちゃうでしょ)

「吉野さんに聞くとか」

(必死なのがバレちゃうでしょ、俺があの人に電話なんかして貴方の居場所なんか聞いちゃったら)

ようやく現れた待ち人は、薫平の思惑をすべて外したことばかり言う。
俄かに心がざわめくのは、それにいらつく自分の未熟を知らされるからだ。

「ま、僕は薫平くんに会えてとても嬉しいけれど」
「理事長って、案外学校に来ないものなんだ」

言ってしまってから薫平はしまったと思った。
これではずっと待っていたのがバレてしまう。

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