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この世で唯一のXXであることは、ただ辛くて、不安で、孤独だった……

《 XX 》 ――性染色体XXの女が絶滅した世界で、唯一のXX――【R-15】近未来サスペンス 竹比古

 父、十六夜秀隆の謎の失踪により、わずか十九歳で日本屈指の大財閥、十六夜グループの総帥となった司は、幼い日から彼の主治医として側にいるドクター.刄と共に、十六夜秀隆失踪についての謎を探る。  だが、司が二十歳になるまでの後見人たる兄、柊の策謀により、司は、英国貴族ウォリック伯爵の子息、クリストファーと政略結婚させられる。金の欲しい伯爵家と、社交界での身分の欲しい成り上がり財閥の縁組だ。  盲目のために、グループを継ぐことが出来なかった柊の狙いは、ウォリック伯の爵位ではなく、司とクリスの間に子供が生まれた時、司を始末し、その子供の後見人として、グループを我が物にすることだった。  司はクリスとの結婚を撥ね付けるが、それも、柊の策謀を知ってのことではなく、司自身が持つ秘密のためだった。  今から一六〇年前、有害宇宙線により発生した新種の癌が人々を襲い、染色体XXから成り立つ女は絶滅し、司はこの世に存在している唯一の《女》だった。もちろん、一六〇年前、女が生存していた頃から性転換する男は珍しくはなく、今の世にも性転換して女の姿を持つ者は珍しくなかったが、性転換しても、彼らの染色体はXYであり、XXではあり得ない。  司は一体、何者なのか、そして、司の側にいる男、ドクター.刄とは何者なのか。失踪した十六夜秀隆は何をしていたのか、柊の口から零れた《イースター》とは何を意味する言葉なのか。謎ばかりが増え続ける……。  ※2012年1月4日~別PN別タイトルで小説家になろうに掲載していたものです。  ※現在はエブリスタ、アルファポリス、ノベルアップ重複投稿。  ※一部性描写(必要描写です)があります。苦手な方はご注意ください。
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  • 完結 457ページ
階は、事あるごとにアンドルゥの名前を口にする。
 彼は、階の何である、というのだろうか……。
337ページより