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「喧嘩するくらいなら私は龍仁くんの膝の上に乗るわ。」307ページより
ね?と龍仁くんを見ると、ふっと笑いながらよしよしと頭を撫でられる。
大きくてゴツゴツしたたくましい手になんだか嬉しくなってうふふっと笑う。
龍仁くんに背中を向けて座る状態からひょいっと抱き上げられ、横抱きにされた。
「ふっ、俺の娘だ」
いきなり何を言い出すのかと思えば、
「…龍仁、愁璃を返してくれる?」
「何を言っている。愁璃は自分の意思で俺のところに来た。お前に言われる筋合いはないぞ」
「……。愁璃、パパのところにおいで。」
「喧嘩するからいやよ」
「もうしないから」
ふんっ、と龍仁くんの首に腕を回してぎゅっと抱きつく。
由貴や真琴よりもがっしりしてて、2人とは違う安心感があって落ち着いてしまう。
そのままトントンと背中を叩かれれば、寝てしまわない人はいないわ。
というわけで私は
「…すー……すー……」
「…え、寝た?」
「あぁ。泊まり決定だ。龍輝、真琴に連絡入れろ」
「…あぁ。わかった」
そのまま寝てしまった。