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「リサさま、ありがとうございます。あぁ、こんなに可愛いなら早く私も子供が欲しいです」

 マリーリの言葉にブフッと勢いよく咽せて咳き込むジュリアス。
 慌ててマリーリが「どうしたの!? 大丈夫?」と背を摩れば、「だ、大丈夫だ」と顔を先程よりも赤くしながらジュリアスが答えた。

「ふふ、マリーリさんもすぐにできますよ」
「ジュリアスの溺愛具合と執拗さを鑑みると、めちゃくちゃ子沢山になりそうだよね」
「んんんっ! 兄さん、そういうことをあけすけに言うな」
「えー、だってそうじゃない? ねぇ、リサ」
「ちょ……っ、わたしにその話題を振らないでよ」

 ブルースはニコニコと相変わらず機嫌がよさそうに、リサは戸惑ったように苦笑している。
 ジュリアスは引き続きなんとも言えない難しい表情をしていた。

「ジュリアスも早く赤ちゃんが欲しい?」
「それは……マリーリとの子供ならすぐにでも欲しいぞ」

 ジュリアスの言葉にヒュウーと茶化すように口笛を吹くブルースを、リサが「こら」と窘めたときだった。

「ところで、私ずっと気になってたんだけど、赤ちゃんってどうやってできるの?」

 マリーリの発言に、一瞬で場が凍る。

(あれ、私……何か変なこと言ったかしら)

 マリーリが凍った空気感に気づいてあわあわすると、ブルースはふるふると身体を揺らして震え、リサはそれを「ブルース、笑うとこじゃないわよ」と諫める。
 そしてジュリアスはさらに険しい顔になっていた。

「ジュリアスの心中を察するよ」
「勝手に察するな」
「ジュリアス?」
「その辺の話は結婚後に話す、というか実体験してもらうというか……」
「そうなの? 結婚後ね、わかったわ。楽しみにしてる」

 マリーリの言葉に耐えきれなくなったブルースがそこで思いきり噴き出す。
 それを「ブルース!」と彼の背を叩くリサ。
 ジュリアスはまさかマリーリが今の今まで子供の作り方について知らないことに驚愕しながらも、それ以上何も言わずに話題を変えるべく家の中を案内することに切り替えたのだった。
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