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476ページより
「言っとくけど、まだ先の話だからな?」
「わかってるよ。薫くんこそちゃんとわかってるの?」
何度も釘を刺す薫くんは揶揄うあたしに「言われなくても」と少し語尾を強めた。
そして「そろそろ寝よ」と髪の毛から指を離して部屋の灯りを消した薫くんが「おやすみ」と言う。
やっぱり、一日の最後に薫くんとこうして「おやすみ」と言いあえて、同じ温かさを共有して眠りに就けるって幸せだなぁ。
「今日も寝言うるさかったらごめんね」
「なんの夢見てんの?」
「全く覚えてない」
だけどきっと、夢の中でもあたしは楽しい時間を送っているのだろう。呑気な奴だなあと呆れてもしまうけど、やっぱり毎日か充実してるからこそでしょ、という気持ちもあって。