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「……でも、」タクラの裾をつかむ。タクラは何も咎めない。「もう会えなくなるんだよ」「………」「もう、いっしょう、あえない」「……おいで」タクラが腕を広げる。もう何度、その腕で慰めてもらっただろう。終わりは来るのに。知ってるのに。理解してるのに、心の準備はいつも遅れる。――――タクラの胸に、いつも通り額をつける。いつも通り、タクラはやさしい。そして、これが最後だと理解する。「……いつもと同じなのになあ」「そう?俺はオメーに触れるの、初めてみたいな感覚だよ」タクラにも、体性感覚が戻った。体性感覚がなくなる前に触れたことはない。だから、あたしの温度が伝わるのははじめてだ。はじめてで、今日が終わり。