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「君は、女神様だ」「な……」月に照らされた、セーラ。まるで切り離された世界を見ているかのように、幻想的な画だ。「君は僕の女神だよ」そう呟くと、セーラは悲しそうに笑った。僕のために悲しみ、また、僕のために笑ってくれたのだった。「カルファの後ろに隠れてたガキが、ずいぶんな口説き文句を言うようになったじゃないか。大人面しやがって、アイザックのくせに」「……ふっ」僕の頭は白髪ばかりで、しわも多くて、シミもたくさんあって、手は骨のようで、足はもう、動かない。対してセーラはまだ、成人もしていない外見を持っている。それなのに、セーラはまだ、僕を子供扱いした。きっとあと十年長生きしても、同じだっただろうね。彼女と僕の時間は違う。彼女と僕のいきる世界も違う。でも、幸せだった、僕は。君に出会えて。君の心の片隅にでも、いさせてもらえて。本当に、幸せだったよ。