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「絶対、ミホの事追いかけると思う」「ない」「え?」と、すぐさま答えが返ってきた。その言葉がミホの唇から吐かれたんだと思ったと同時、ミホはもう1度「ないよ」あたしを真っ直ぐに見て断言する。何を言ってるんだろう。この子は今まで何を、何をしてきたんだろう。おかしい。この子はおかしい。いつもみたいに妄想も変な事も言ってくれないこの子は、おかしい。「ミホ、それはない」「麻耶、ない。あたしを追いかけてくる事なんて、それは絶対ない」「なんでそう言い切れるの」そう問えば、ミホはとうとうと語り始めた。「ないんだよ麻耶。あたしが逆の立場だったら寂しくて追いかけるけど。でもその逆はない。千里たちがあたしごときを追いかける事なんてない。だってあたし、千里たちの中で存在が薄いし」「・・・・・・は?」「あたしみたいな妄想女は、南のヤンキーの為に何も貢献していないでしょ。南不良集団の役にたってないでしょ」スと、ミホが目をすがめた。そして、「だから絶対に追って来ないって確信があるんだな。あたしがしぶってただけだから、結局は」"だからそんな事はない"最後に付け足す。その言葉はやけにあっさりしていて。妬みも悲しさも欠片もこもってない。本当に本心からそう思ってる。思ってるんだ、この子は。