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薄暗いその部屋で、483ページより
「…もう、大丈夫ですよ」
って、龍哉は呟いて、あたしをゆっくり抱きしめた。
「……」
あったかい腕と、龍哉の匂いに包まれて、あたしはすごく安心出来て…思わずその背中にしがみついた。
龍哉はそっとあたしの髪を撫で、
「ここは誰も来ませんから…泣いてもいいですよ」
って囁いてくれる。
龍哉の声が優しすぎて、あたしは思わず龍哉を見上げた。
「……司さん」
龍哉の指が、そっとあたしの頬を包む。
視線が絡み合って…お互いの心臓の音が聞こえそうな沈黙の中…すっと近付いた龍哉の唇がそっとあたしの唇に重なった…。