「ごめんね、羽生くん、迷惑掛けて…。また来るから…って言うか来てもいい?」

「いえ。迷惑だなんて…ぜひまたいらしてください」

羽生くんは頭を下げるあたしをそう宥めてくれて、ドアの前まで見送ってくれた。

「ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとう」

手を振り合って羽生くんと別れて、あたしは龍哉とエレベーターホールに向かった。

「龍哉もありがとね。色々…」

「いいえ。俺は司さんと飲めて楽しかったですよ」

「ありがと」

龍哉はあたしの言葉に頷くと、やってきたエレベーターにあたしを乗せてくれる。

「でも、お酒強いね、龍哉。顔色変わってない」

「そうですか?けっこう酔ってますよ?暑くてカーディガン脱いじゃいましたし」
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