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「───やっとだ……」熱い吐息と共に、耳元に吹き込まれた囁き。「え?」その表情を確かめるように見上げれば、愛おしそうに私を見つめている魁さんが映った。「やっと、俺のものだ……」───どくん……耳に届いた切ない囁きに、心臓が痛いくらいに反応する。指が体に食い込むほどの強い力で、ぎゅっと抱きしめるその腕は、私の存在を確認するかのように胸の中に閉じ込める。