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見たらわかるでしょ。これ、『危険物注意』って意味だって。

【完】ポートレート・イン・ザ・ダーク木村

あらすじ(ネタバレあり) 市村みどりはニューヨーク行きの飛行機の中で、顔以外全身入れ墨が入った男と知り合う。見た目の割にとても優しい彼に惹かれ、みどりは連絡先を交換する。 一度目のデートは彼の職場であるジャズバー、二度目のデートは彼のアパートメントで言葉と心を交わし合う。 「君は俺が好きなんだから、帰れるわけないでしょ」 互いを信用した二人は、彼のアパートメントで過ごすようになる(第一章 夢一夜)。 二人がまさに蜜月を過ごしていたとき、アパートメントに不審な男、百々目がやってくる。百々目は紫貴の同僚であり、裏社会の人間だった。 「鬼ごっこは困るよ、みどり。俺が鬼にならなきゃいけなくなる」 みどりが逃げるかもしれないという考えに取り憑かれた紫貴は、一線を越えてしまう(第二章 アリア)。 互いの自由を奪いすぎると気が付き、彼らは別れを決意する。しかし、敵対組織の手が迫っていた。なんとかみどりは日本に帰国するが、以降、彼からの連絡は完全に途絶えた。 それから、三年後―― 「今度こそ、大事にする」 危険な男とのひと冬の恋と、その先の物語。 登場人物 市村みどり(25)  主人公  『しない後悔よりする後悔』と考えるようになった元OL 日比谷紫貴(28)  ヒーロー  全身入れ墨の銀髪の男 ピアニストと名乗るが、……? 百々目優(42)  不遜な男 紫貴の言うことは聞くらしいが、……?
  • 不良LOVE・アウトロー
  • 完結 74ページ
 目を閉じて、頭の中で尋ねる。

(どうする、市村みどり?)

 目を開けて、紫貴を見つめる。彼は震えながら、私の言葉を待っていた。

(この人の言う通り、この先、最悪の未来かもしれない。でもそれは、きっと、私が誰を選んでも一緒だ。未来は分からない。人生は百年もない。私はきっと、……この先、なにがあったとしても、紫貴のいない未来の方が後悔する。だったら、……)

 彼を抱きしめて、額にキスをする。

「私をあなたの彼女にしてくれる?」
73ページより