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聖也君が陽だまりなら東郷は雨を凌ぐ傘だ。

太陽には勝てないはずなのに温かくて尊い。

いつも目も開けられないような冷たい雨からあたしを救い出してくれる。

そのくせ自分はいつもずぶ濡れで。

あたしが要らないと言えば直ぐに折れて消えてしまうんだろう。

存在など最初から無かったかのように。
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