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早く良くなりますように」

 舞は笑う。怪我に笑顔を向ける行為に意味なんてない。

 笑ったところで傷の治りが早くなる訳がない。無駄な行為。意味の無い行為。ただの自己満足。理解が出来ない。

 それなのに、ただ好きだと思った。

 ずっと腹の中で巣食っていた感情に、綺麗に名前がついていく。鮮やかに、色が付く。

 俺は舞のことを好きだ。たぶん、俺が舞に向けている執着と欲の核に恋情がある。漠然とそう気付いた。
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