by
自分がどれだけ恥ずかしいことを言っているか分かってないくらい慌ててくれて、

 「・・・今のところはってこと?」

 「あぁあああ」

 傷みのない髪をかき乱して、

 「あたし、来年で16だよ」

 「・・・!」

 「にひー」

 タクトも今年17で、来年で18歳。

 そういう意味を込めて笑うと、頭から湯気を出しそうな勢いでますます血色がよくなって。

 「俺の、彼女になってくらさい・・・」

 目を泳がせて顔を真っ赤にさせたまま、そんな風に言うからあたしは返す。

 「初彼女?あたし初代?」

 「二代目はない」
 

 いつもの意地の悪い笑みを時々引っ込めて、

 そんな風に柔らかく笑う君がいつから好きだったんだろう。
340ページより