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ツヤツヤでまだ真新しい写真――二枚とも、あのとき撮ったふざけた写真。そのページを開いているその手に、静かに透明な雫が落ちた。379ページより
「え、」
どうしたの、とは続けられなくて。
横顔をそっと盗み見たあたしは、その長い睫毛の先から頬に伝う綺麗な雫を見る。
どうして泣くのか、わからないけれど。
嗚咽も上げずに、そのページで止まったままの手をどんどん濡らす涙をただ見ていた。
タクトの間抜けな顔、あたしの馬鹿みたいな笑顔、うんざりしたようなシュウジとアキラ、驚いた顔のトウヤ、それにうに坊。
その二枚にどう感じたのかわからないし、撮った時にはなんともなかったはずなのに。
「たっくん、」
小さく、声をかける。
慌ててタクトは目元を袖口を拭って、「ごめん」と呟くように言った。
「あ・・・いや、その、大丈夫?」
首をかしげて表情を覗う。また泣きだしそうな顔をして、でもタクトは突然あたしの肩にごつんと頭をぶつけてきた。
「好き」
「にゅ?」
「好きだ、」
何で今言うの、とは思ったけれど。
さらさら零れるビール色の髪と、肩だけで触れるぬくぬくとした体温があたしを黙らせる。
「あ、あたしも、」
言おうとしたら、その口はふさがれてしまった。
やっぱり熱があったのかもしれない。やけに熱い。
吃驚するというより、心地よくてふにゃりと目を閉じる――と、未知の感触にまた目を見開く羽目になった。
話そうとしていたせいで隙間のあった口から、
「ん、」
・・・何やら、たっくんの舌が乱入してきたらしい・・・!