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「うん、騙したねぇ?」「っ、最低……」「最低?どうして?悪いのは俺よりユネの方でしょー?」楽しそうな声で私にそう言ってくる森。けど、その中に籠っている彼の怒りが 私には伝わってくる。笑っているのに笑ってない……それは瞳だけじゃなくて声や口調だって同じだった。───森は笑ったまま、私の背中を優しく撫で回してくる。「っ、!」その瞬間に背筋を駆け抜けるこの感覚が、恐怖からくるものとは違うということを──私は知ってる。「俺に隠れて千治と連絡先交換しちゃったりしてさぁ…俺が怒るって分かってた癖に」「…っ……そ、れは…」「それともなぁに?俺に嫉妬して欲しくてわざとやってんのぉ?」そんな私の気持ちを知ってか知らずか森はそう私を責めながらも、抵抗できないように背中を撫でる手を止めない。