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「たーくと先輩」

 「・・・あ?・・・はぁ!?」

 ハルの謎の呼びかけで振り返ったタクトは、数秒硬直し。

 他の男子メンツを放ったらかしにしてこっちに猛ダッシュ。

 ほら見ろ。あっちゃんもハルも後悔するがいい。タクトはあれだけあたしに水着を着せたがらなかったんだから、こってりしぼられちゃえばいい。

 ふふんと親友二人を笑っていられたのも、束の間――・・・

 「ユイの破壊力に脱帽・・・!」

 「・・・、」

 もういいやこの連中。放っておこう。

―――・・・

 「パーカー一枚に生足っておま、なに?え?狙ってんの?」

 「タクトきもい」

 「俺ズボン持ってるけど、履く?履いた方がいいだろ、ってかああ鼻からなんか出るやっべ」

 「タクトまじきもい」

 「何色着てんの?なぁ、水着新しく買ったとか聞いてねぇし」

 「タクトちょうきもい」

 「赤?黒?赤?赤?ピンクもありだけど」

 「タクト病的にきもい」

 「だっこしていい?だめ?なぁ脱げって、ちょっとだけちょっとだけ。あとでかき氷?焼きそばでもたこ焼きでも食わせてやるから、脱ごう」

 「タクトきらい」

 「ごめん俺が悪かった」

 
 一文字違いの破壊力。

 土下座の勢いですがりついてくるタクト。あたしが罵倒してもなおそこまで固執するか、水着に。
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