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お前はいっつも勝手に俺から離れてく」

その掠れた低い声が濡れていて、洋は思わず「水純くん?」と声をかける。

そんな洋の声すら湿っている。

ゆっくりを顔を上げて、洋に跨ったまま、雨宮が、洋を見下ろした。

見つめ返そうとした洋は、突然、上から降ってきた雫に思わず目を閉じて、それから、その雫が彼の涙と気づいて、目を見開いた。

───雨宮水純が、泣いていた。

ぽろぽろと、綺麗な顔にいくつもの雫が伝い、下にいる洋の頬や髪や胸元に落ちてくる。
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