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「若やめてください!」「若っ…!」広間へ足を踏み入れようとすると、夢灑さんと組員さんらしき人の焦る声がした。「っや!」「ちょっ、誰か霞さん呼んできて!」梓さんと李泱さんの声に不安が渦巻き障子を素早く開けると、近くにはお腹や頭を抱えてうずくまる組員さん。「え…大丈夫ですか!?」しゃがんで肩に手を伸ばした時、「触るな!!」柊悟さんの低く良く通る声が聞こえ、慌てて手を引っ込めた。顔を上げて奥を見やると、柊悟さんが私の前の組員さんを眼光鋭く睨みつけていて、シーンとしたその場にその目は酷く怖かった。「………霞、立て」柊悟さんが近付いてくるのに、なぜか体は震えが止まらず力が入らなかった。見上げている私は、今どんな顔をしているのだろう。柊悟さんは私の前まで来ると、立たないことに痺れを切らしたのか私を抱き上げた。その手つきはさっきのピリピリした声と違って丁寧で、優しい。ほんの少しだけ安堵した私は、抵抗することなく柊悟さんに連れられそのまま広間を出た。「…よくもまぁこんなに散らかしてくれて…」夢灑が周りを見渡すと、暴走する若を抑えて逆に殴られたり蹴られたりした組員が床に倒れていた。「…梓、大丈夫か?」原因とも言える梓に李泱が声を掛けると、痕がついている若に締められていた首を抑えながら咳き込んでいた。「ゴホッ……っ、…なん、で…?…ゲホッ……あそこまで、する、必要…ないじゃん…!」梓はバンと力なく畳に拳を下ろすと、その手を強く握り締めた。「っ柊ちゃんの、馬鹿ぁ~!」泣き喚く梓を慰める生き残った組員たちの苦労は、大きかったそうです。