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北から南へ、そして西
北の本庄さんは本当に器が大きな人。
南の真鍋海斗はすぐいじけるが素直でかわいい。
そして西の樹里は…

「最初は苦手だったんだよ、樹里のこと。
無口で冷酷な奴だと思った。
でも西に行って2か月経った頃、ある場所に行くから付き合えって言われてな。
助手席に乗せられて連れてかれたのが、お墓だった。
その日は樹里の婚約者の、結衣さんの月命日だった。
で、聞かされた結衣さんの最期。
辛かった、苦しかったなんて言葉も軽すぎるぐらいだった。
話聞いただけでそうだったんだ、当の本人は息もできなくなりそうだったって。
“だから、次に詩織に会えたら後悔するな“と樹里は俺に言ったんだ。
それからは毎晩一緒に酒を飲んで話をして、いろんな事を沢山教えてもらった。
僅か20年しか生きてないのに、両親も愛する女も亡くして普通だったら耐えられねぇ。
それでも樹里は、高崎が好きだから自分は高崎で生きて行くって言った。
すげえ奴だよ。」

樹里は大翔に結衣さんのことを話したんだね。

「うん、すごいね。」

「お前がイギリスに行った後に、神田さんが目を覚ましたんだと。
高崎の人間は皆喜んで、その時樹里は泣いたらしい。
ずっと自分のせいでって思ってたらしくて。
でも神田さん、久しぶりに樹里を見て言った言葉が
“結衣さんが樹里をよろしくねと言ってました“だった。
樹里は神田さんが言った言葉で、また強くなった。」
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