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そお‥ちゃん?」

呆けた顔をしている私に、口端を上げた そおちゃん。

「セナ、帰るぞ」

甘いバリトンと共にムスクの香りに包まれる。

何時もの音色に何時もの香り。

そして優しく私を抱き締め、昔から変わらない言葉をくれる。

もしかして私を心配して来てくれたの?

真っ黒なコートに顔を埋め、そおちゃんの甘く優しい愛情を噛み締めた。

ママの孤独を一人で背負い、ずっと私を見守ってくれていたゲンちゃんの海よりも深い愛情。

そして、命を懸けて私を守ってくれたママの無限の愛情を今日初めて知った。
450ページより