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「⋯⋯次は冬休みに来てもいい?赤ちゃん、抱っこしたいんだ」

「もちろん」

きっとその頃には生まれてるだろう。赤ちゃんを抱っこするのは、初めてだ。

と、コンコンとやる気のないノック音が聞こえて、雅さんが部屋に入ってくる。

「2人ともー、俺を置いてなに話してんの?仲間に入れてよ」

「ハルがね、赤ちゃんに会いに来てくれるって」

雅さんがにやっと笑って、お姉ちゃんの頭を優しく撫でる。もう何度もそうしてきたのが一目でわかるくらい、自然に。

「しょうがないな。俺と月子の天使を抱っこさせてやるか」

「⋯⋯上からだなぁ」

「あったりまえじゃん。俺はもう親バカになる自信あるね」

呆れたような顔してるけど、お姉ちゃんはどこか嬉しそうだ。

この人達と一緒に過ごす時間はぼくの宝物だ。

「ハル、なに笑ってるの?」

「⋯⋯うん、楽しいなぁって」

ぼく、お姉ちゃんの弟になれてよかった。
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