染井冬花。
行年十一歳。
──六年前、俺の目の前で彼女は死んだ。
後期が始まって少し経った頃。
高校二年生の橘颯太の通うクラスに転校生がやってきた。
転校生の名は天利小羽。
しかし彼女は、六年前に死んだはずの冬花にそっくりだった。
冬花に似ている小羽に対して複雑な思いを抱いていた颯太。
だが、ひょんなことから飼い犬のレンが小羽のことを気に入ってしまい、いつしか小羽とレンの散歩をすることになってしまった。
レンの散歩を通じて、颯太と小羽は少しずつお互いの距離を縮めていく。
だがある雨の日、とあることがきっかけで颯太は小羽に対して疑問を抱いてしまう──
級友の死に罪悪感を抱く少年と、その級友によく似た少女。
そんな彼らの、束の間の青春劇。