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「お前ら、英悟達の方、見て立て」

人垣を作ってから
美穂さんと紗那さんに声をかける

「あ…」

小さな声が聞こえて…
少し顔を後ろに向けたシズキがいた

シッ---大河と指を一本口に当てる

うんうんと、首を縦に振るシズキは涙目

「英悟~」

『ツトムくぅ~ん』

大河と人垣の前に立つ

ん?
そんな感じで見る英悟とツトムくん

そのまま人垣はそろそろと前に進み
英悟達の前で止まった

「どうした、シズキ」

英悟がシズキの涙目に気付いて
訝しげな表情を見せる

シズキは首を激しく横に振る

「ハイ、お前ら、どけッ」

大河の声で弾かれたように
人垣は左右に分かれる

「………」

「え………」

「英悟…」

「ツトム…」

2人のお姉さんは
目を見開いて固まったままの
2人の弟を抱き締めた

「ねぇちゃん…」

「姉貴…」

「俺等…先に入ってようぜ」

暁人が顎で指示を出す
232ページより