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そっと眼を閉じた。
眼を閉じてもそこに浮かび上がる貴妃の顔。
華が綻ぶような笑顔
拗ねた顔
泣いた顔
………初めての時の顔

俺の中は貴妃だらけだ。
自然と顔が綻んだ。

「……その満ち足りた顔が気分悪りぃ。
でも…最後だ。教えてやる。
狛がお前を連れて行かない訳をな。

貴妃の1番が………お前になっちまったからだよ。

貴妃は気付いてないがな。」

胸が締め付けられた。
歓喜の中で迎えられる最期に感謝しよう。

「……ありがとう。」

響いた銃声と身体に感じる衝撃。

瞬時に包まれる暗闇の中呟いた。

『愛してる』
245ページより