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「それによ母親とべったり一緒だったら、次出来た時に可哀相じゃねぇか」

「可哀相?」

「今までは自分しかいなかったのに、自分より手のかかる赤ん坊が出来たら、放置されたとか、自分よりも可愛いんじゃねぇかとか思ったら可哀相だろ?」

「赤ちゃん返りとか言うんだっけ」

確か真理ちゃんか菫さんから聞いた気がする。

「だけどあいつも男だ。強く育ててぇんだろ?それは俺も同じ考えだ。特に精神面は強く育ててぇ。外では誰も護ってくれねぇからな」

「でも玲哉に選ばさせるんでしょ?」

「あぁ。基本は玲哉に選ばさせるが、親として教えなきゃならねぇことはいっぱいあるからな。将来進むべき道と教育は話が別って意味だ」

「そだね」

そう言う意味で良かった。

「もっと大きくなりゃお前に言えねぇ悩みも出てくんだろ。そんな時兄貴みてぇなのがいっぱいいる方があいつも楽だろうし、やんちゃしても叱ってくれるやつがここにはゴロゴロいる」

「確かに」

お兄ちゃんみたいな組員さんたちがいれば、家族に言えない事でも相談出来る事もあるだろうし、男同士なら尚更だろう。それは普通の家じゃ経験出来ない事なのかもしれない。
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