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「良かったか?あのまま帰して」

それぞれの布団に入ると、突然そんなことを聞かれた。

「……そっちに行っても良いですか?」

逆に聞くと、布団があげられポンポンと叩かれる。

枕を持って雪代さんの隣に寝転ぶと、布団が被された。

「私も絶対に後悔しません、私の居場所は“ここ”です」

「ああ」

雪代さんの胸に擦り寄るとギュッと抱きしめられる。

トクトクと聞こえる心臓の音。

優しい嬉しい音。

ドン底の中、死ぬことさえ考えた。

けれど今、とても幸せ。

きっとお姉さんにも幸せは訪れる、諦めなければ。

顎を持たれ、クッと上を向かされ啄むようなキスをされる。

それにとても安心して、私は眠りについたーー。

「おやすみ、ひな」

「おや……ゆき……さ」

「ククッ」

大勘違い[完]


雪代side

変な女に絡まれた。

心底ウザく妄想が気持ち悪かった、が

ひなの心が聞けたことは

「感謝する、東條ゆり」

嫁ぐ先でせいぜいもがき苦しめ。

ひなが苦しんだ分も。

俺は人の幸せを願うほど広い心は持ってねぇ。

俺の大事な者達が幸せであればそれで良いーー。

深くひなを抱きしめて、幸せの中俺も眠りにつく。
39ページより