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そんな私の些細な抵抗を哂うように、差し出されたのは抗いがたい甘美な誘惑。 ゆっくりと掌を差し伸べて、艶やかに美しく微笑する。「来い」 距離にすれば、たった5・6歩。 それが意味するところを理解して、息を呑む。 この何処までも傲慢で狡猾(こうかつ)な皇帝は、最後の選択を私自身に科した。 択べと。自らの意思で、自身の脚で、自分の傍に来ることを撰べと。 ただそこに、選択肢などありはしない。あるのはただ、この絶対で唯一の必定のみ。 私の意志も、心も、理性も搦め捕る漆黒の双眸が、静かに見据えて裁断を促す。「璃依。来い、俺の傍に」 渇望の滲むその声音に、魂が震えた。