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「知らなかったよ。
 あきらから触れられるだけで、
 死にたくなるくらい幸せだなんて」

ゆっくりと彼女が目を見開く。

それは俺の言葉に対する驚きか、
それとも俺が泣いていることへの、驚きか。

「…すごく幸せなんだ。
 ねえ、あきら。俺のこと殺してよ、このまま」

願ったって手に入らないならば、いっそ。

この泡沫の夢の中で死んでしまいたい。
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