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何が面倒だって、説明してもらおうか。」30ページより
低くドスの効いた声に振り向けば、いつのまにか夜勤明けの翔吾が背後にいた。
「ひぇ…驚かさないでよ。」
無表情のまま眼光だけ鋭く…って、何か怒ってる?
「何…が?」
「今の電話、昔の男か。」
あぁ…そう言う事か。
アメリカに帰ったレズの後輩からの電話。男と勘違いしているわけね。
「後輩。」
「で、そいつとも寝たのか。」
ん…寝たって言えば寝たんだけどね。
答えない私を肯定とみなす男。
「そいつが何の用だ。」
「アメリカで彼女と喧嘩したから、日本に来るって…で、ここに匿って欲しいって。」
「はぁ?ふざけるなよ。」
「私もそう言ったんだけどね。翔吾と暮らしてるって言ったら、会いたいって言うんだよね。」
「却下だ。」
そうなんだけどね…。
「会社にバラスって脅しかけるのよね。私の男遊び知ってるしね…。本当にバラス気はないと思うけど。」
「殺せ。」
「警察官がそれ言ったら駄目でしょ。」
「嫌、綺麗に抹消しろ。」
「あぁ…その娘さ。」
「娘?」
「うん。後輩は女。」