by
「あんたはっ・・・もっとまともなガッコ行ける筈だったじゃん。何であんたが責任取らされんの?何であんたが悪く言われないといけないの?何で、何で・・・」

 悔しそうに憤る茜が、とても眩しく見えた。

「ありがとう。私の為に怒ってくれて。それだけで、本当に十分だから」

「・・・アタシは、あんたの名前好きだよ

璃依」

「・・・・・・私も、嫌いにはなれないなぁ」

 秋月(あきづき) 璃依

 あの人たちが “私” にくれた、数少ない贈り物だから。

 捨てることも、嫌うこともできない私の名前。

「茜。私ね、少しだけ好きになれたの」

 あの夜、耳元で囁かれ続けた『璃依』と呼ぶ声が、私が璃依であることを認めてくれたから。

「好きに、なれたの」
21ページより