by
「トモくんが、コックコートを着た悪魔に見えるー!」

舞は目に涙を浮かべてそう叫んだ。

「……へぇ。それはそれで面白そうだな」

友季の瞳が楽しそうに、でも妖しく細められる。

「舞」

呼ばれて、舞が友季の瞳を見つめると、

「Trick or Treat?」

舞の日本語英語とは違う、綺麗な発音でそう訊ねられて。

「あ……」

今、舞が手に持っているのは魔法の杖のみ。

お菓子を取りに店に行きたいが、友季にがっつりと捕まっているので、ここから動けない。

ということは、つまり――

「お菓子がないなら、イタズラするぞ」

友季の低い声が聞こえて――

「……やっ……」

舞の胸元に、友季がそっと口付けた。

「と、トモくん、待って!」

「待てない」

舞の腰に回されていた友季の右手が、舞の背中に移動する。

そこにあった衣装のファスナーが、ゆっくりと引き下ろされた。

「トモくん、お店でこんなこと……!」

「休憩室に監視カメラは置いてないから、大丈夫」

「そういう問題じゃ――あっ……」

友希の左手が舞の太ももを優しく撫でたので、その言葉が途中で途絶えた。
6ページより