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◆瑠月side◆271ページより
-am9:14-
「いってらっしゃい、頑張ってね」
「あぁ」
しーくんこと父さんが母さんに見送られながら仕事に行った。
今日も変わらず玄関で熱々な会話だ。
玄関でキスでもしてるんじゃないかとたまに思うことすらある。
親同士のキスなんて見たくないから絶対に行かないけれど。
居間で扇風機の風を正面から当たりながら暑さを凌ぐ。
相変わらず俺はクソ暑い夏休みを過ごしていた。
こんな暑さじゃ女の子と遊びに行く気にもならない。
そんな女の子からのお誘いが大量にきているだろう携帯を見るのも億劫だ。
かといって、この家にはむさ苦しい弟ばかり。
全員が姫苑のように可愛い妹だったらどんなに心が軽いことか。
まぁ今更な話だが。
「あー…」
いつも以上にやる気がなく、気怠くその場に転がる。
我ながら無駄な時間を過ごしている気がするが、とにかく全てが面倒だ。
要は動きたくない。