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そんな優しい声で、私の名前を呼ばないで―。

何度も、何度も、呼ばないで―――。

銀に名前を呼ばれる度に、私の弱り切った心臓が悲鳴を上げる。

「……っ」

漏らしてはいけない鳴咽が咽の奥から込み上げて零れてしまう。

「…椎華」

「……っ」

口を押さえたい。

後から、後から、

ぽたぽたと無意識で落ち続ける水滴をどうにかしたい。

拭いたいのに拭えない―。

「…ん…っ」

「椎華」

馬鹿の一つ覚えみたいに私の名前を連呼しないでよ―。
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