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それは定かではないが、私は、消灯時間後には真っ暗な病棟を、ただ無我夢中で車椅子に乗って階段ホールに向かって行き、階段の下を見下ろすようになっていた。

(ここから落ちたら、もうこんな痛み感じないで済むのかな)

私は、そう考える事でしか、現実から逃げられない程に追い詰められていたのだった。
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