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「……いや、泣いたんですか?真紘さんの前で」「………」「え、マジか」沈黙は肯定。松崎は、驚きで目を見開く。「出せ」彼にそう言われ、信号が変わり前の車が遠ざかっていく事に気付く。挙句、後続車にクラクションを鳴らされる始末だ。運転に関しては一級品の自覚がある俺としたことが、と松崎は苛立ちが募る。いや、それよりも……、天沢響夜の涙など、巷でプレミアが付くくらい高額で売り捌くことが出来るんじゃないか。だいたいどんな顔でそんな事聞いてきてるのかを気になり、ちらりとバックミラーで見てもその表情は前髪で隠れあまり見る事は出来ない。