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「…真紘さんは何と?」38ページより
「大丈夫かって」
「…それで響夜さんは何と?」
「……何も」
「そう、ですか」
「………」
「………」
「…てめぇなに笑ってんだよ」
笑いで揺れる言葉に当然のごとく気付かれ、後部座席からは鋭い声が飛ぶ。
「……くっ、いやすんません……ちょっと」
ちっと舌打ちをした彼は「もういい忘れろ」といい、視線を窓の外へ戻した。
笑わない方が無理だろ、と松崎は心で毒づく。
…だが、その質問に真剣に答えるとすれば、
「真紘さんならどんな響夜さんでも大丈夫なんじゃないですかね?」
それしか思い付かない。