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「…真紘さんは何と?」

「大丈夫かって」

「…それで響夜さんは何と?」

「……何も」

「そう、ですか」

「………」

「………」

「…てめぇなに笑ってんだよ」

笑いで揺れる言葉に当然のごとく気付かれ、後部座席からは鋭い声が飛ぶ。

「……くっ、いやすんません……ちょっと」

ちっと舌打ちをした彼は「もういい忘れろ」といい、視線を窓の外へ戻した。

笑わない方が無理だろ、と松崎は心で毒づく。

…だが、その質問に真剣に答えるとすれば、

「真紘さんならどんな響夜さんでも大丈夫なんじゃないですかね?」

それしか思い付かない。
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