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用意していた言い訳の言葉が、突然のコトに全部吹っ飛んじゃって、頭の中が真っ白だ。

 更に、あたしを支えてくれている腕が、予想外に大きくて、体温が上がってドキドキする。

「……あの」

「……?」

 白崎主任の顔は困惑したままだし、自分の顔はどんどん熱くなってくるし、こうなったら、正直に言うしかない!

「洗濯物が!」

「……洗濯物?」

「はい、それが、……あの、ここの樹に引っかかってしまって」

「えっ?」

「主任のお家とは知らなくて、急に主任が出て来たから、動揺しちゃって……、あの、取らせて頂いてもよろしいでしょうか?」

 大きく見開いたままの、主任の瞳を見上げて言った。ちょっとだけ嘘があるけど、そこは許して欲しい。

「……あぁ、いいけど?」

「ありがとうごさいます!」

 ホッ、良かった、取りあえず第一関門突破だ。
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