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そこは病院の霊安室だった。

簡易的な祭壇の前に簡易的なベッドが置かれていて、その上に白い布を被せられた一体の肢体が横たわっていた……。

母親は長方形の白い布を掴み、ゆっくりと布を剥がしてゆく……。

その指先は小刻みに震えていた……。

布を剥がし現れた顔は死に化粧が施され、ただそこで寝ているような表情で、声をかければ、起きてくるのではないか……と、思うほど生前の顔そのものだった。

どうしてこんな場所に連れてこられたんだろう?
なんでこんなところで父親は寝ているの……?
ねぇ、なんで?
どうして?
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