by
その瞬間、もう理人さんとは会えないと、頭でも心でもない直感で理解した。

変わらず輝くリトさんにはこれからもライブに来れば会えるだろう。

でも、公園で会っていた理人さんとは、きっともう会えない。

自分から距離を置くことを決断したくせに、なぜこうも喪失感が襲ってくるのだろう。

ドーナツの穴のように綺麗にぽっかりとあいた胸を抱えながら、何度も聴いた曲に体を揺らす。

ここで止まってしまったら、持ち堪えた涙も悲しみも、全てが堰をきってしまう。
175ページより