久遠マリ
成長と眠る力
ファラスの辛い過去。彼が如何にしてそれを受け入れ、生に立ち向かっていくのかが、この物語全体を通しての見所です。
最初は誰とも話そうとしなかったファラスが徐々に心を開いていく、その過程が驚くほど自然で美しい。周囲の人の言葉を真っ直ぐに受け止め、周囲の人の大切さに気付いていく彼に親しみを覚えました。
このままでも十分に面白いですが、神官のお仕事(祈りの時間とか説法とか集団戦闘訓練など、色々)がもっと細かく描写されていれば、コアなFTが好きな方(多分私みたいな人間)は、さらに突っ込んで深く楽しめると思われます。
行動や感情、風景などの描写をもっと書き込み、尚且つ文章を練って表現に締まりをつければ、さらにさらに素敵な物語になると感じました。
最初から彼の本当のお父さんが誰なのかわかってしまい、ニヨニヨしながら例の箇所まで読み進めていたことは内緒です。
ラストにファラスが領主さんとその話をしていた方が良かったかなあと思ったのですが……どうやらまだ続きがありそうなので、また後々そのことは話されるのでしょうか。
楽しみにしています。
真っ直ぐなファラスに乾杯。