桜井 みゆう
再燃した想い
付き合っていた恋人と結婚を意識していた時、学生時代に好きだった人に再会したことから始まる物語。
“元カレ”なわけでもない、
“相手が自分を想っている”わけでもない。それでも好きだった悠に対して『好き』が止まらない。
想いは再燃し、恋人と好きだった人との間で揺れ動く南智の気持ちは痛いくらいに繊細に描かれていて胸を打たれました。
人には誰にでも良い面と悪い面が必ず存在しますが、小説では良い面ばかりが描かれることが多いかと思います。
でもこの作品にはキャラクターの個性が静かながらはっきりとしたものがあって、とても人間らしいと感じました。
私には南智が正直すぎて危なっかしい。でもそこがとても愛らしく、悠に対してどんな時も一途に思い続けてきた純粋さがとても魅力的でした。
日常に私たちが感じるであろう不安や辛さが丁寧に描写されていているので切ないけれど、共感できるし、最後には暖かい気持ちになれる素敵なお話でした。