結婚から始まる恋
話の構成から、登場人物の人物像、さらに場面中の細かい設定まで、しっかりとつくりこんである作品だと思います。

文章的には、穴はまったく見当たりません。

お酒にからめた章題や話のもっていき方も、斬新で面白いものでした。

ただ、説中の雰囲気づくりが素晴らしいために、余計に主人公の気持ちの変化がずいぶんと雑に感じました。

冷徹な彼の、お客様に対する笑顔をみて、好きになる。

営業スマイルに恋に落ちるのは、恋愛小説的にアレな気もしますが、好きになる理由としては、不自然ではないです。

しかし、好きになってからの彼に対する気持ちのうつりが急すぎて、若干違和感があります。

彼も彼で、主人公のどこに、いきなり惚れたんでしょうか。

いきなりの同居、性格の噛み合わない二人が距離をおきあう、徐々にひかれあう。

この作品に足りないのは、最後のような気がします。


恋愛小説には、そういったプロセスも重要。

個人的にはもう少し気持ちの描写を丁寧にしてほしかったです。

しかし、トータルでいえばかなりの良作。

次回に期待しています。